Milano salone報告 その3_デザインの巨匠カスティリオーニ事務所を訪ねる

Posted on 2013/09/18

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ミラノサローネ報告 その3 今回は’デザインの巨匠カスティリオーニ事務所を訪ねる’と題してお送りいたします!これまで2回に渡り、いいひさん・オンドさんがサローネ街歩きの魅力をお伝えしてまいりましたが、今回はミラノに事務所を構えていたデザイナー、故カスティリオーニ氏の事務所見学の様子をお伝えしたいと思います。


「デザインの巨匠?!」「カスティリオーニって誰?」と、思われる方もいらっしゃると思いますので、ここで簡単に概略を。。。

アキッレ・カスティリオーニ(1918年〜2002年)
1940年に自身の二人の兄と共にデザイン活動を始める。日本では照明器具・腕時計などのデザインで有名ですが実際の仕事の幅は広く、建築・都市計画・イベント会場デザインと多岐に渡り、20世紀の工業デザインの巨匠とも呼ばれています。事務所はカスティリオーニ亡き後も、財団によって維持され誰でも見学することが可能です。



今回はこの旅のアテンドでもある、家具デザイナー村澤一晃さん一行(宮崎椅子製作所、千葉工業大学の学生さん)と共に、演出家・翻訳家でもあり、カスティリオーニ氏と親交の深かった多木陽介さんのご案内で見学させていただきました♪ ↓

事前にオンドさんからお話を聞いていた(オンドさんは2度目の訪問)私たちも、当日はわくわくしながらの参加でした。

 


ヨーロッパに多い、古い建物を利用したオフィス。重厚なエントランスはその歴史の重みも感じさせてくれます。

 





オフィス入ってすぐ右側には大きな鏡が!!!これは茶目っ気の多いカスティリオーニが用意したいたずら。鏡に角度を持たせ、入ってきた者には実際にはそこには居ないカスティリオーニが座っているように見える仕掛けだそうです。実際にぶつかってしまった訪問者も少なくないとか。

アトリエのそこここに、カスティリオーニの作品・蒐集品が並び、そのモダンな作品だけでは計り知れない、デザイナーの顔を窺い知ることもできます。

多木さんの説明中↓

この事務所を単に見学させていただく事だけでも、充分に価値のある事だと感じるのですが、今回は多木陽介さんの解説付きという事で、更にカスティリオーニの人柄・作品の成り立ちから、その根底にあるものなどを知る事になり、クラシカ隊の活動についても自信を深めることができたと思っています。





カスティリオーニは、 「 全く意味のないデザインは無い = モノはその機能から入り、デザインはその機能からやってくる 」 と常々話していたそうで、様々な機能的な工業製品からヒントを得て、更に使い勝手の良い、そして美しいモノを練り上げていた人でした。


有名な作品が多いですが、ひとつ。。。。この「アルコ」。

60年代の照明器具なので、古い建築雑誌やインテリア雑誌でよく見かけますね。このデザインの発想も「ランプにしばられない空間=不自由さを解消する」というコンセプトのものだそうです。天井に照明を取付けず、重い大理石の台座とランプの絶妙なバランスによって成り立つデザイン。ランプの下を通り抜ける事も可能なうえ、台座に開くその穴は、持ち運ぶ際に棒を通すためでもある。。。。実に無駄がないのに美しい。

現在では高級品となってしまったこの照明器具。。。実は制作当時はイタリアでは手に入りやすい大理石を台座とし、コストも充分に考えられていたそうです。

そしてそんなヒントを与えてくれる蒐集品の数々。。。。ここに埋もれて日々活動していたのかぁ〜と、私たちも写真撮影と多木さんの説明を聞き、諸々を眺める事に夢中になってしまった時間でした。



最後に 「カスティリオーニのデザインに対する透明性」 という話をお聞きし、恐れ多くも私たちが目指すものとシンパシーを感じてしまったので、こちらでご紹介しますね。



ー 私がデザインしたものが自分の名と共にある事は嬉しいが、デザインした私の名も知らず、普通の家庭の適切な場所で昔からあった物のように使ってもらえたら、もっと嬉しい ー アキッレ・カスティリオーニ



↑ こちらでは、彼のデザインした商品の一部やポストカードなどを購入する事も可能ですよ。

私たちの旅はこの後も、展示会の様子・宮崎椅子製作所展示ブース・番外編などまだまだ続きますので、乞うご期待!是非またこのブログに足をお運びくださると嬉しいです。

(文責:滝川)