コルビジェが愛した地中海と終の棲家_カップ・マルタンの休暇小屋へ_南仏旅行記Vol.5

Posted on 2018/12/29

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南仏旅行記Vol.5。今回は、ル・コルビジェの終の棲家、「カップマルタンの休暇小屋」を訪ねます。モナコやイタリア国境にも近い海辺の村、ロクブリュヌ・カップ・マルタンに佇む一連の建築群見学ツアーに参加。コルビジェが愛してやまなかった海辺での暮らしを垣間見て、最小限な空間での豊かさを実感しました!


暮らしと家®南仏旅行記Vol.5
前回 からの続きになります!!
( ↑ 旅行記Vol.4へリンク )

この日の午後は、この旅のメインイベントでもある、
ル・コルビジェとアイリーン・グレイの建築見学ツアー♪

カップマルタンの駅すぐ近くに、
Cap Moderno の事務所があり、ツアー集合場所となっています。
( ↑ カップ・モデルヌHPにリンク )
( こちらは、二つの建物を維持管理する団体のようです )

マントンでの街歩きを楽しみ、一旦Airbnbに戻り、ランチ。
駅までは10分かからないので、しばしのんびりした後、
おうちからお散歩に出掛けるように、身軽な格好で行けるのが嬉しい。

↓ 線路右側の建物がCap Moderno事務所。


此処は、高級リゾート地ニースやモナコ、
そしてイタリアの国境に挟まれる位置関係の、
ロクブリュヌ・カップ・マルタンという村。


アイリーングレイの別荘E1027の修復完成と共に、
この事務所もリノベーションされたようです。



カップモデルヌ事務所内部は、
模型や資料展示がされていて、
見応えがあります。



↓ 今回見学する建築群が模型になっていました。



( ↑ 位置関係が分かるように、写真に建物名を記入 )

コルビジェの終焉の地となった
「 カップ・マルタンの休暇小屋 」

「ひとで軒」と「ユニテ・ド・キャンピング」

そして、アイリーングレイの別荘、、
「 E-1027 」

地中海を見下ろす高台に、
これらが並ぶように建っているのが分かるのでしょうか?

↓ 書籍やポストカードなども販売。






見学ツアーはフランス語か英語を選択できます。
( 私達はモチロン英語ツアーです )

事前にメールで申込をする必要があり、
フランスの会社の日本支社に勤務する…
スピカさんの息子T君に、そのやりとりをお願いし、
今回のツアー参加が叶いました。

T君に感謝!!

英語ツアー組は、私達を含めて5名。
ガイドさんと共に、海沿いを歩いていくと、
カップマルタンの建築群が見えてきます。

どうやら、英語ツアー組は、コルビジェ建築からの見学のようです。



明るい太陽の下の、この美しい碧い海と空!!

コルビジェが愛してやまなかった地中海を臨むこの地の魅力が、
この景を前にした時、私達にもグッと伝わってきました。

少しだけこの建築群が建った経緯を…
( かなりざっくり割愛しますが )

↓ 写真右よりの白い建物は、アイリーン・グレイの別荘。



この別荘を訪ねたコルビジェは、いたくこの地とこの建物を気に入り、
それこそ、入り浸り…勝手に壁画まで描いてしまうというエピソードが有。

この辺りは、映画「追憶のヴィラ」でも描かれているところで…
かなり、コルビジェの人物像に疑問が浮かぶ描かれ方でした。。

その後、ビストロ『ひとで軒』のオーナー、
トマ・ルビュタトーと親しくなり、
彼に出資してもらい、この地にホテルを計画。

大きな計画はとん挫しますが、
バカンスに訪れる客用の簡易宿泊施設
『 ユニテ・ド・キャンピング 』は実現。

この施設の設計と引き換えに、
トマ・ルビュタトーから周辺の土地を借り、
自分達夫婦のため『 カップマルタンの休暇小屋 』を建てることになったそう。

↓ ツアーガイドさん。



その辺りの相関関係を、
写真を交えて丁寧に説明してくれます。

が…モチロン概略を予習していったからこそ、
内容を辛うじて聞き取れたというレベルでして。。(^-^;

イギリスからいらしたご夫婦や、一人参加の男性は、
質問を交えながら、そのエピソードを聴き入っていました。

↓ ユニテ・ド・キャンピング。



↓ 壁に『モデュロール』が描かれています。



モデュロールとは…(ざっくりと要約すると)
コルビジェが提唱した、人体を基準にした新しい尺度。

- これらの数値を用いれば、
- おのずと人が動きやすい寸法の空間や家具が作れる。
- 人間が快適に暮らすのに、むやみに大きな空間は不要であり、
- 人間の寸法に沿ったサイズがちょうど良いとした。

と、モデュロールを説明する本には書かれています。

このキャンピングもキャバノン(休暇小屋)も、
その考えに則って設計したそう。。



↓ 内部。





↓ コルビジェらしい横長窓についている鏡扉。



その意図は、
例えば、ベッドに横たわっていても、
海が臨めるようにと意図したものだそうです。

↓ この写真で伝わるかしら?



↓ 美しく海の景を切り取るピクチャーウインドウ。



ガイドさん、熱心に説明してくれるのは嬉しいですが、
とにかく説明が多くて、建築自体を見る時間を与えてくれません。。



さぁさぁと、外へと促されてしまいます。。( ;∀;)

このような建築や庭見学ガイドツアーは、
ガイドさんを見て聞くのが礼儀なので…仕方ないですが、
コルビジェの建築群は小さいので、建物に居られる時間はあっという間。。
なかなか、建築自体を実感できないのが残念でした。。(^-^;

↓ ひとで軒へ。



この建物は、コルビジェの設計では無いとのことですが、
外壁にも内壁にも、コルビジェの壁画が描かれています。



↓ これは、コルビジェの足形だとか?!



↓ ひとで軒、内部。



カウンターに描かれた絵もコルビジェによるもの。
このインテリアの色づかい、とっても好きです。



この隣にコルビジェの休暇小屋があるのですが、
ひとで軒とは、ドア一枚で繋がり、
コルビジェは、自身のキッチンやリビングの如く使っていたそう。

↓ 内部の壁画。



ある時を境に、コルビジェが描くモチーフは、
女性が多くなったそう。

この建築群でも、肉感的な女体が描かれているのを観られます。

↓ ひとで軒を抜けて、いよいよ、休暇小屋へ。



な、なのに、
この中に居られたのは、5分程度。
そして、内部の写真撮影禁止!!( 悲しすぎました )

↓ 内法700×700の窓、奥が換気用の窓。



窓から内部を撮るのもNG。。
しつこいですが、悲しい( ;∀;)



それでも、コルビジェ終焉の地となった、
この休暇小屋に佇めたのは、本当に嬉しくって。。

その機能的でありながらも充たされる空間を、
身体と記憶に覚え込ませようと、
食い入るように空間をみつめ、
コルビジェの設計意図を自分の中に落とし込もうとしました。

↓ カップモデルヌのHPからお借りした写真(以下3枚)で、
↓ 内部の様子を少しでもお伝え出来たら…と思います。



3610mm×3610mmの空間(≒8帖)+通路分の空間に、
ベッド二台、テーブル、洗面、トイレが配されています。


 

下がり壁の一部を利用した収納があったり…
空間利用がホント秀逸。



最小限であり、簡素ながらも、実に豊かな空間。。

そうそう!!ガイドさんによると、
休暇小屋は妻イヴォンヌの誕生日プレゼントとして作ったものだそうですが、
イヴォンヌは、あまり気に入らず、此処で過ごす時間は少なかったとか。。
( 聞き取れているか自信はありませんが…そう云っていたはず… 

どうやら休暇小屋のベッドを奥さんが気に入らず、
それは、トイレの脇だったせい?という理由もありそうで、
奥さんは普通のベッドを利用し、コルビジェは下の簡易ベッドで寝て、
この小屋で一緒に過ごしていた…というエピソードも有。

みんなが笑いながら聞いていましたが、
そのエピソードで、
イヴォンヌもやはり気に入っていたからこそ、
そこまでして一緒にこの休暇小屋で過ごしたのでは?と、
私達は感じたのですが…どうだったのかしら??

↓ こちらは、コルビジェのアトリエ。( この写真もお借りました )



↓ アトリエ内部。



この建物は、プレハブ、、既製品を組立てただけ。

机も、脚に板を載せたもの。
椅子は、木箱。

ここで、設計の仕事をしたり、
著書の執筆をしたり、
手紙をしたためたりしたそうです。

この簡素な感じ…理想だなぁと、
記事をまとめていて、改めて感じました。

コルビジェは泳ぐことも大好きで、
最期も、この愛する海での海水浴中だったそう。。



カップマルタンの休暇小屋を訪ねて感じ入ったのは、
美しい海辺を見下ろしたミニマムな空間の豊かさ。

最近、小屋建築が世界的にも流行っているようですが、
コルビジェの休暇小屋に、その原点と完成形を感じました。

そして、改修工事が済んだばかりの、
アイリーン・グレイ設計のヴィラE-1027へ!
コルビジェがその出来具合に嫉妬するほどだったとか?

こちらも、本当に素敵でしたので、どうぞ、お楽しみに!!!

長い記事になってしまいましたが、
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は、新年明けて1/12(土)に更新予定です。

2018年も残すところあと2日ですね。
暮らしと家®では、春にギャラリー展を開催予定です。
また詳細が決まりましたらお知らせいたします。

皆さま、一年間、ありがとうございました。
どうぞ佳い年をお迎えください。

( 文責:牛尾出美 )