秋晴れの2019益子陶器市へ♪_暮らしと器の愉しみ
益子陶器市2019年秋レポ。思い立ったが吉日ということで、陶器市最終日へ初めて足を運びました!素敵な出合いがたくさんあった楽しすぎた一日…当日出合えた作家さん達のことや暮らしの中に来た器たちのことを綴ります!
Posted on 2019/01/12
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前回のル・コルビュジェの休暇小屋に続く、
アイリーン・グレイ設計の別荘「E-1027」のレポートをお伝えします。
あけましておめでとうございます。
2019年本年も暮らしと家®️、どうぞよろしくお願い致します。
暮らしと家®南仏旅行記Vol.6
前回 からの続きになります!!
( ↑ 旅行記Vol.5へリンク )
今回は旅の目的でもあった、ロクブリュヌ・カップ・マルタンでの建築ツアー、
ル・コルビュジェの休暇小屋に続く、アイリーン・グレイの別荘「E.1027」のレポートをお伝えします。
旅日記のVOL.1でも記していますが、
この建物は2017年公開の映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」の撮影舞台にもなった建築。
↓↓↓
「E.1027」とは建築当時のアイリーンの恋人バドヴィッチと
アイリーンの二人の名前を暗号化した名称だそうです。
アイリーン・グレイとは?
Eileen Gray (アイリーン・グレイ)1878-1976
アイルランド生まれの家具デザイナーであり、建築家。
当初は注文家具のデザイナーとして活躍し、その後時代の流れとコルビュジェの思想にも感化され
量産化できる家具デザインに傾注する。主にフランスで活躍。
「E-1027」というと、、、
この別荘よりもアイリーンがデザインしたガラスのサイドテーブル「E-1027」の方が有名で、
実は私も学生の頃にアイリーン・グレイを知ったのは、この家具が最初だったと記憶しています。
なのでずっと彼女は家具デザイナーだと認識していました。
↓ 家具のE-1027は、現在もカッシーナで販売されています。(カッシーナのHPに飛びます)
映画の公開に合わせていろいろと調べるうちに、、、、
恋人であり建築家であったバドヴィッチのために、
彼の依頼でアイリーン・グレイが設計したことを知り、
土地がバドヴィッチ名義だったこともあり、
あまりアイリーンの名が出てこなかったこと、
E.1027もコルビュジェの描いた絵があまりにも有名になったこと、
E.1027の設計が秀逸過ぎてコルビュジェが嫉妬したこと、
そして休暇小屋はカップマルタンの美しさに惹かれて建てた事を知りました。
この建物は1921年に建設され、アイリーン自身は2年ほどしか利用していなかったそうです。
その後ルーマニア政府が所有→コルビュジェの知人→不法占拠などを経て
2007年にフランス政府が買い取り、修復されていました。
2015年に期間限定での公開をしていましたが、
今回運良く一般公開が始まったばかりでの見学が叶いました!
最初のセンターでの模型をお借りすると、写真左手前がE1027↓
修復前の様子を示す↓
当日は英語コースとフランス語コースで、休暇小屋とE.1027をチェンジしての見学。
休暇小屋は写真禁止、ほぼガイドさんの説明でゆっくり見る時間がなく、
ジレンマがあったのでE.1027はどうなることやら、、、、と心配しましたが、
こちらは写真OKで割とゆっくり見学する事ができました。
カップマルタンは富裕層のリゾート地らしいですが、本当に美しいところで
海を眺めるだけでもうっとりします。
その素晴らしい景色をバックに建つE1027。
↓
崖地のため、玄関は2階部分から。
写真左側が玄関になります。
↓ 玄関にコルビーのイタズラ書きが、、、、
玄関ポストが革!!!
に驚く私たち。。。モダンで素敵。↓
玄関入ってすぐ海に面したリビングは
バルコニーを介して外部とつながります。↓
真夏にはきっと陽射しの強い南仏、、、これに対応するような帆布の庇も付いていました。
2階は家具や天井まで届かない間仕切り壁などでゆるく仕切られ、
ほぼワンルームですが
シャワールーム、
コージーなコーナー、
寝室などで構成されています。
アイリーン設計の家具やカーペットも当時のまま
(建設当時の家具は廃棄されてしまったそうです)の位置に置かれ、
設計意図を感じることができました。
居心地の良さそうなこのコーナー、大好きです!!!
↓
ここもバルコニーに面し、そこにはハンモック♪ ↓
彼女の設計した家具は約100年前のものとは思えず、
現代で十二分に通用する機能的で美しいデザイン。
当時はきっととてもモダンなデザインだったのだと思います。
ベッドルーム、そしてパウダールーム↓
ミラーの左にある小さなミラーは、襟足を見るためとか。
それにしても設計が細かい、、、
細々としたディティールが本当に繊細で秀逸で、やはり家具デザイナーらしいと感じます。
1Fにはゲストルーム、メイドルーム、バスルームがあり、
入れませんでしたがルーフバルコニーにはアウトドアキッチンがあるらしく、、、
室内から上がって行けるとガイドさんが説明してくれました。
(と、説明しているように聞こえました、、、、)
羨ましい!!!
そして立地の良さを活かした窓の取り方がとても上手でした。
開放感とホールド感、
光と陰のバランス、
景の切り取り方が秀逸で、
それほどに心地よい空間。
確かにコルビュジェが嫉妬する気持ちもわからなくもないです。。。。
暮らしがきちんと息づいている設計は、
作品と呼んではいけないような「素敵な住まい」でした。
修復が終了し、一般公開の時期と私たちの旅のタイミングが合い、
ここを訪れることができたこと。
心から良かったなぁと思えました。
ここカップマルタンに恋してしまったコルビー、、、
アイリーンに許可なくE1027の壁に勝手に絵を描いてしまったコルビー、、、
自分もちいさな休暇小屋を建ててしまったコルビー、、、
嫉妬しながらもE1027が競売に出た時は知人の富豪に購入させたコルビー、、、
そして、愛して止まないこの海で亡くなったコルビー、、、
影響を与え合った二人の建築家。
映画を観ただけでは伝わらなかったコトを感じる見学でもありました。
その後アイリーングレイはE1027の他には建築家としては2物件のみの設計だそうですが、
もっと彼女の設計したものを見たかったとも思いました。
2回に分けてお伝えした、カップマルタンでの建築ツアーでしたが、
次回 はカップマルタンから移動してアヴィニヨンに向かう様子をお伝えします。
お楽しみに♪
1/26更新の予定です。
(文責:滝川良子)