お宅訪問_都市型の家で日本の木を素敵につかうこと

Posted on 2009/12/15

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クラシカ隊がゆく_第三回目は、芝浦工業大学K教授のご自宅訪問。
K邸は、日本の木をふんだんに使い、高い職人技術を駆使されたディティールが素晴らしい3階建の都市型住宅。
2009年10月に完成した際の、オープンハウスにお邪魔してきました!


都市型の家は、防火規制や高さ制限など、法的にクリアしなければならない問題が多々。そのなかで、木を現わしてつかうことも、なかなか難しい現実があります。 けれど日本の山には、伐り時を迎えた木々が有り、使うことで循環させないと、山はどんどん荒廃していくばかりだと云います。 K教授は、都会の家に、日本の山の木をインテリアとして採り入れること、そして日本の高度な職人技術による精密なディティールの採用を自邸で実践されました。

←青空に映えるモダンな外観。深い赤系のガルバリウムとラムダの貼分け。そして1階部分は、、、杉板型枠コンクリート打ち放し仕上。 杉の木肌が残るコンクリートは、、うっとりする位、とても美しいのですが、、これだけの仕上精度にするには、実に大変な技。のっけからその技術の高さに驚きつつ・・・中へ。
そして、玄関ドアを開けると、、 しっとりと落ち着いた洗い出しの土間床。これも腕のある職人さんが丁寧に仕上げたのでしょう。ステンレスの上がり框ともしっくりと合っていました。 K邸は、スキップフロアの空間を上手く活かした3階建2世帯住宅。地面から80cm程高く1階の床を配置することで、都会の住宅地なのに、隣からの目線を上手にかわせる工夫がされています。 1階の深い床下も無駄なく利用。納戸としても使えて便利そうでした!
←1階ご両親世帯、リビング一角の和室。 杉を織り込んだ格子戸は美しすぎます!!お値段を聞いてビックリしましたが、この建具は、家宝モノですね。。。
杉をつかうと、和テイストが強く、また、ともすると垢ぬけない印象のインテリアになりがちなのですが、モダンな空間にしっくり溶け込む和。 無垢の杉の框扉、面が角でとられていたり、シンプルでデザイン性の高いレバーハンドルを用いたり、少しの工夫で、こんなにスッキリします。 K邸には、そんな工夫が彼方此方にされていて…非常に勉強になりました。こんな木の使い方なら、今の若い世代の施主さんにも、きっと受け入れてもらえるのだろうと感じます。
← そして、子世帯のリビング。スキップフロアになっているので、ダイニングキッチンから見下ろせる。この空間構成も、素晴らしかったです。
K邸は、外断熱を採用。スキップフロアにより、各階にさんさんとお陽さまが入るのできっと冬の晴れた日は暖房要らずなのでしょうが、、低温式の温水床暖房が入っているとのこと。 床材は、割れや反りの心配のない、表面に無垢の厚板を貼ってある集成フローリングを採用。タモの美しい板目。床暖房でも安心して使え、無垢の風合いも愉しめるのが嬉しいです! 風合いを重視して無垢を入れて、空いた沿った割れたを心配するより、こんな選択のほうがスマートだなと感じた牛尾なのでした。
←リビングから1.4m程上がった高さのダイニングキッチンスペース。 K邸の住宅設備品は全てTOTO。ステンレスのアイランドキッチンに、背面収納。水廻りなど、能的な部分には、最新の使いやすいモノをチョイスされていました。 先々のメンテナンス、国内メーカーによる保証。やはり、普段使う水廻りには、安心と使い勝手のよい機能性を重視することは頷けます。 K邸は基本設計がK教授。そして置き家具、建具は全てK教授がデザインしたもの。冒頭の写真にある神代杉の厚い無垢板のテーブルは、昔ながらの家具の組み方「 組接ぎ 」で。家具職人さんの技、そして神代という果てしなく永い時間を経たであろう木の持つチカラ。 家族が囲む食卓で、K教授のご家族とこれからの暮らしの時間を営むテーブルは、使い込むほどに風合いが良くなっていくのでしょう。それに、北欧のアアルトの椅子がさりげなく置かれている。。和と北欧モダンは相性がいいのですね~! K教授の美意識が、其処彼処に散りばめられたデザイン。住環境的にも、暑さ寒さを感じない心地よい家であること。そして、メンテナンスのしやすい住宅であることも重要視された機能的な家。でも、2世帯の家族がお互いの距離を保ちながらもひとつ屋根の下で暮らせる家。 都会に建つ家の目指すべき姿を見せていただいたように思いました!長時間、ご案内くださったK教授、どうもありがとうございました!!

次回の「クラシカ隊がゆく!」は、断熱のオーソリティ南雄三先生の自宅兼事務所訪問です。どうぞお楽しみに!!!また、クラシカ隊に体験してきて欲しいコト、取材OKな企業様などご意見がございましたら こちら まで、お願い致します。文責:牛尾